湿疹(アトピー性皮膚炎)治療の種類とステロイド外用薬
- m310712
- 2015年2月6日
- 読了時間: 4分
まず、治療を分類すると
外用(塗り薬)Topical
ステロイド(Topical steroid)
プロトピック(Topical calcineurin inhibitor)
内服(飲み薬)Oral
抗ヒスタミン薬(Antihistamine)
ネオーラル(Cyclosporine)
注射(現在治験段階で治療には使われていません)
抗IL-4R抗体(Dupilumab)
にわけることができます。メインで使われているのは塗り薬であり、これが治療の基本です。
ステロイド外用薬は効果によって日本では5段階、アメリカでは7段階にわけられています。効果が高いほど湿疹への治療効果は高いですが、その分皮膚が薄くなる、といった副作用が出やすくなります。クリニックに行くと強さで分類したチャートが待合や診察室に掲示してあることが多いので、ご覧になった方も多いかと思います。まとめて1(最も強い)〜5(最も弱い)まで代表的な商品を分類すると
1.デルモベート、ダイアコート、ジフラール
2.フルメタ、マイザー、アンテベート、ネリゾナ、リンデロンDP
3.リンデロンV、ボアラ、リドメックス(3と4の中間)
4.ロコイド、アルメタ、キンダベート
5.(エキザルベなどあまり使われません)
になります。これらを使用する際には
①年齢(大人か小児か)
②部位(顔なのか腕、背中などの体なのか)
③症状(最近出来た赤い範囲の狭い湿疹なのか、以前からあり皮膚も厚くなっている治りにくい湿疹なのか)
で強さを選びます。同じ強さであれば基本的にどれを使っても効果は大きく変わりせん。まず、小さいお子さんの場合には皮膚が薄いので、弱めのステロイドを使います。幼児までのお子さんでは、顔はロコイドのランク、体もリンデロンVのランクまでが基本です。乳児湿疹に用いるときにはロコイドをさらにワセリンで薄めて使用することもあります。
大人の場合には顔はロコイド〜リドメックス、体はフルメタやアンテベートのクラスを用いることが多いです。症状が長期間に渡り、皮膚が厚くなっているような治りにくい湿疹や急にできて範囲の広い赤みの強い湿疹にはさらにランクを上げてデルモベートの強さを使うこともあります。
強さと違う分類として、ステロイド外用薬にも軟膏、クリーム、ローションが用意されています。強さが同じでも吸収率に差が出ます。ローションは頭皮の湿疹に主に使います。軟膏とクリームでは軟膏のほうがよく吸収され、同じ成分でも効果が高くなります。ベトつくのが難点ではありますが、ステロイド外用薬を使う場合には軟膏を基本に使うのをオススメします。手湿疹がある場合には寝る前以外は軟膏ではベトついてしまい塗ることが難しいですので、その場合はクリームを使用するといいでしょう。手を洗うととれてしまうので、マメに塗ってあげるようにしてください。
たとえ強いステロイドであっても所詮は塗り薬であり、短期間(<2週間)であれば基本的に毎日使用しても副作用は心配することはありません。怖がらずにしっかり塗り、ある程度治ったところで止めるのではなく、完全に症状が収まって元の皮膚の状態に戻るまで塗ることが大事になります。途中で保湿薬に切り替えてしまう方が多いのですが、湿疹が残っているとそこから広がり再発して最初からやり直しになってしまうのです。
塗る回数ですが、1日2回が基本になります。朝とお風呂あがり(もしくは寝る前)がよいと思います。3回以上塗っても大きく効果は上がりません。
塗る量についてはFTU(Finger tip unit)という概念があります。大人の人差し指の第一関節から指先までの長さにチューブから軟膏を出すと、約0.5gの量になり、これを大人の手のひら2枚分の広さに塗ってあげるとちょうどいいです。チューブは通常5gですので、これで1/10量を塗ることになります。少し多いと感じる方が多いと思いますが、塗る量があまり少ないと効果が落ちます。すりこむ必要はないですので、湿疹が出ている範囲全体をカバーするように、伸ばすように塗ってください。これはあくまで目安ですので、慣れてきたら毎回FTUを考えることはありませんが、湿疹が治らないな、と思っている方には塗る量が極端に少ない方がいます。かかっているお医者さんにもどのくらいの期間でどの程度の塗り薬を使ったかを報告し、塗り方が正しいか確認するといいでしょう。
次回はもう一つの塗り薬であるプロトピックについて紹介していきます。
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