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SID(Society of Investigative Dermatology)

忙しく、ついつい更新が遅れてしまいました。つい先週、年に一度の学会であるSIDに参加するため、アトランタに行ってきました。この学会には研究をしている皮膚科医が世界中から集まるので日本から参加の先生方とも久しぶりに会うことができて楽しかったです。

SIDをはじめ海外の学会に参加していつも思うのは、つぎつぎと新しい治療が開発されてじっさいに患者さんに使われているということです。

今回の新しいトピックは

①皮膚がんに対する免疫療法

白人ではアジア人に比べて皮膚がんが10倍ほど多く、亡くなる方も多いので大きな問題になっています。皮膚がんでは今年は免疫療法が話題です。体の中の免疫のちからを上げることにより、皮膚がん(メラノーマ)が広がるのをくいとめよう、というものです。メラノーマをはじめ、ガンは体内にあるガンに対する免疫の力を抑えてしまいます。それを取り除いてあげることで、からだの中の免疫細胞がガンを攻撃する力が増し、ガンが広がるのを抑える、という治療法になります。アメリカではすでに進行したメラノーマに認可されていて、ほかの治療法とくみあわせて使うことでよりよい治療効果が得られるようになっていきそうな予感です。

②湿疹(アトピー性皮膚炎)の細菌叢(microbiome)

皮膚の表面には多くの種類の細菌が住んでいます。眼に見えないので普段意識しないのですが、この細菌が皮膚の病気に大きな影響をおよぼしているということがここ数年、皮膚科の学会ではよく話題になります。皮膚の細菌には大きくわけて善玉菌(多くの種類がありますが、commensal bacteria共生菌)と悪玉菌(ブドウ球菌)があります。健康な人では多くの善玉菌がすんでいて悪玉菌が少ないのに対して、アトピー性皮膚炎の人では善玉菌の種類がへり、ブドウ球菌の割合が増えるということです。これがアトピー性皮膚炎(湿疹)で大きな役割をはたしているのであれば、善玉菌を皮膚にあたえることで、湿疹をよくすることができるかもしれません。現在ステロイドの塗り薬、プロトピック(ステロイドに似ているが副作用の少ない塗り薬)しかよい治療法がないことを考えると、将来への応用が楽しみです。


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